被保険者証を提示すれば、健康保険で治療できることが原則ですが、次のような場合は、本人が一時立て替えて支払い、あとで健康保険組合に請求し給付を受けることになります。
このような制度を療養費払いといいます。
1.療養費(家族療養費)
やむを得ないケース(入社直後や扶養認定等で被保険者証が交付されていないとき、またはやむを得ず保険扱いをしていない診療所にかかったときなど)で被保険者証を提示せずに治療などを受けた場合。海外で急に病気になったときも同様です(海外での診療については
4.をご覧ください)。
『療養費支給申請書』に「診療内容が記入されているもの(診療報酬明細書等)」、「領収書の原本(コピー不可)」を添えて、勤務先事業所を経由して健康保険組合へ提出してください。
2.コルセット等治療用装具
コルセット等治療用装具を必要とする場合は本人が一時代金を支払い、請求により健康保険組合から基準の費用が給付されます。
『療養費支給申請書』に下記の表を参考に各種書類を添えて、勤務先事業所を経由して健康保険組合へ提出してください。なお、外傷性により負傷の場合は、併せて『負傷原因届』も提出してください。
内容 |
添付書類(すべて原本であること) |
コルセットやギブス等 |
○医師の作製指示書 ○装着証明書
○領収書
作製した装具の名称・種類およびその内訳別の価格が記載されており、義肢装具士の氏名または印があるもの
○靴型装具の場合は、上記に加え装具の現物写真
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弾性着衣・スリーブ等 |
○医師の作製指示書
○領収書 |
小児弱視の治療用眼鏡 |
○医師の眼鏡等作製指示書
○検査書
○領収書 |
3.柔道整復師の施術代
健康保険でかかることのできる柔道整復師の施術は、あくまで「外傷性が明らかな骨折、脱臼、打撲、捻挫および挫傷」の施術に限定されています。内科的原因による疾患は含まれません。また、単なる疲れや肩こりでマッサージを受けても、健康保険は使えません。
多くの柔道整復師は、都道府県知事(健康保険組合では健康保険組合連合会)と協定を結んでおり、一般の医療機関と同様に、被保険者証の提示により、窓口に一部負担金を支払うだけで施術を受けられます。ただし、残りの医療費は健康保険組合に請求するため、その委任状となる『療養費支給申請書』に患者が署名します。申請書に記載された傷病名や施術内容等が正しいかどうか、必ず確認してから署名してください。
また、領収書は無料交付が義務付けられています。必ず受け取って保管し、当健康保険組合が提供するスマートフォンやパソコン等Webによる個人専用ポータルサイト「健康マイポータル」内にて、「医療費・保険給付金のお知らせ」と金額や施術を受けた日数を照合してください。
なお、施術内容について、当健保(発送及び回収代行業者 ガリバー・インターナショナル株式会社)より文書にて照会させていただくことがあります。
手続き上、照会時期が施術日から数ヵ月後となりますがご協力ください。
皆様からお預かりしている大切な保険料を適正に使うため、何卒ご理解の程よろしくお願いいたします。
4.はり・きゅうの代金の手続き
はり、きゅうの施術代については、立て替え払い(償還払い)のみとなります。健康保険でかかることのできる施術は、「神経痛・リウマチ・頸腕症候群・五十肩・腰痛症・頸椎捻挫後遺症などで慢性的な疼痛を主症状とし、医療機関で治療効果が得られないもの」で、医師の同意がある場合に限られます。対象疾患でも医療機関で治療を受けている場合は適応外となります。
上記の要件を満たす場合は、まず本人がはり・きゅうの施術代を支払い(全額立替払い)。後日、請求により健康保険組合から基準の費用(療養費)が給付されます。
当健康保険組合の『療養費支給申請書』、施術者が発行する「療養費支給申請書(はり・きゅう用)」、「但書・日付・施術を受けた者の氏名記載のある領収書」、「保険医の同意書(6ヶ月ごと)」を添えて、勤務先事業所を経由して健康保険組合へ提出してください。
*保険医療機関(病院・診療所など)で同じ負傷等の治療中の場合は、施術を受けても保険対象外です。
5.あんま・マッサージ・指圧の代金の手続き
あんま・マッサージ・指圧の施術代については、立て替え払い(償還払い)のみとなります。健康保険でかかることのできる施術は、「筋麻痺・関節拘縮などの症状があり、医療上マッサージを必要とするもの」で医師の同意があるものに限られます。
単なる肩こりや疲労回復のために受ける施術は対象外となり、全額自己負担となります。
上記の要件を満たす場合は、まず本人があんま・マッサージの施術代を支払い(全額立替払い)後日、請求書により健康保険組合から基準の費用(療養費)が給付されます。
当健康保険組合の『療養費支給申請書』、施術者が発行する「療養費支給申請書(あんま・マッサージ・指圧用)」、「但書・日付・施術を受けた者の氏名記載のある領収書」、「保険医の同意書(6ヶ月ごと)」を添えて、勤務先事業所を経由して健康保険組合へ提出してください。
*保険医療機関(病院・診療所など)で同じ負傷等の治療中の場合は、施術を受けても保険対象外です。
6.海外で診療を受けた場合
旅行中・出張中等のやむを得ない場合に限り、その診療内容を日本国内の保険診療基準に合わせて査定された額が支給されます。治療内容のレベルや治療費は、各国ごとに異なるので、かかった医療費のすべてが支給されるわけではありません。また、臓器移植等の療養目的のために海外で受診した場合には適用されません。
『海外療養費支給申請書』に「海外の医療機関等が発行した診療内容・費用等に関する証明書(日本語に翻訳されたもの)」、「旅券・航空券その他の海外に渡航した事実が確認できる書類の写し等(出張時以外)」を添えて、勤務先事業所を経由して健康保険組合へ提出してください。
海外療養費の支給を申請する場合は、健康保険組合までお問い合わせください。
7.先進医療等を受けたときの保険外併用療養費
先進医療等を受けたとき、健康保険が適用される分については、健康保険組合から給付されます(通常は現物給付)。特に手続きは必要ありません。
8.輸血(生血)の血液代
病院を通じて血液(生血)を買って輸血をしてもらった場合には、一旦本人が血液代を支払い、あとで健康保険組合から給付されます。
『療養費支給申請書』に生血代金領収証、医師の輸血証明書を添付して健康保険組合へ提出してください。
※保存血で輸血をした場合は、現物給付となります
9.小児弱視等の治療用眼鏡・コンタクトレンズの作成・購入費
9歳未満の小児が弱視、斜視および先天白内障術後の屈折矯正の治療用に眼鏡やコンタクトレンズを作成・購入した場合は、健康保険組合から給付が受けられます。給付される金額は作成・購入した費用(定められた上限あり)の7〜8割です。また、眼鏡等を更新する場合も給付の対象となりますが、5歳未満は1年以上、5歳以上9歳未満は2年以上の装着期間が必要です。
『療養費支給申請書』に「眼鏡等の代金領収書の原本(コピー不可)」、「保険医の作成指示書」、「患者(対象小児)の検査結果」を添えて、勤務先事業所を経由して健康保険組合へ提出してください。
10.四肢のリンパ浮腫治療のための弾性着衣等の購入費
広範囲のリンパ腫切除を伴う悪性腫瘍(乳がん、子宮がん、前立腺がん等)の手術後に発生する四肢のリンパ浮腫の重篤化予防を目的に、医師の指示に基づいて弾性着衣(弾性ストッキング、弾性スリーブ、弾性グローブ等)を購入した場合は、健康保険組合から給付が受けられます。給付される金額は購入費(定められた上限あり)の7割です。給付の対象は装着部位毎に2着を限度とし、前回購入後6ヵ月経過後に再度購入した場合は療養費として給付されます。
『療養費支給申請書』に「療養担当に当たる医師の弾性着衣等の装着指示書」、「弾性着衣等購入時の領収書の原本(コピー不可)」を添えて、勤務先事業所を経由して健康保険組合へ提出してください。